ジェイ・ホワイトがIWGPヘビー級王座に。新日本プロレス2.11メインイベントの感想&ジェイ・ホワイトについて
「スイッチブレード」ジェイ・ホワイトがIWGP戴冠!感想
2.11大阪、新日本プロレスワールドで観戦。
棚橋のハイフライフローをキャッチ!した後ブレードランナーを決め、
ジェイ・ホワイトが棚橋を下した瞬間、
私は素直に喜んだ。
さらに、終始「棚橋コール」が湧き上がっていた会場で、
チャンピオンとなったジェイにお客様方がパチパチと暖かい拍手を送ってくれた様子にも感動(実際の会場の雰囲気はわからないが)。
特に棚橋のファンでもアンチでもないけれども、
若いジェイがベルトを獲ってくれたことが、彼自身の言葉通り「新時代」だと感じてうれしかったのだ。
色々な動きに個性が見え隠れするジェイくんだが、
終盤、リング中央でカクンとひざまずいて攻撃を回避(?)したときは
思わず笑ってしまった。
こういう避け方はあまり見ない・・・
ジェイは、戦い方もそうだし、人柄も何なのこの人?という印象が強いレスラーだと思う。
26歳のジェイ・ホワイト。ケニーの穴は埋められるか?
ご多分に漏れず、私も会社によるジェイ・ホワイトの猛プッシュに拒絶反応を示していた一人である。
札幌でジェイがケニーからUS王座を奪取したときから納得いかない気持ちでいっぱいだった。
もともと私がケニー推しだったこともあって、
「ジェイがケニーの穴を埋めるなんて無理に決まってる!」と意地になってジェイを否定していた。
それが今では、ジェイのIWGP戴冠に大喜びしている自分がいたりして・・・。
ケニーがイッテンヨンで棚橋に負けて「ああ本当に新日を離れるんだ」と悟り、
心にぽっかり穴が空いた気分で悲しくてさみしくて仕方がなかったのに、
もはやケニーの今後の動向にさして興味がなくなるほどジェイのプロレスがおもしろくて、
私個人の中ではすっかり「ジェイはケニーの穴を埋めてくれた」のだ。
この自分の手のひら返しっぷりにも我ながらびっくりである。
興味深すぎるジェイ・ホワイトの人間性
ジェイに対してのイメージが「否定」から「肯定」に代わった理由は2つある。
1つ目:KUSHIDAの最終試合後にまで乱入してきた。
1/28はクッシーの新日本プロレスでの最後の試合とあって、
棚橋に3カウント取られて終わったときには何やらジーンときて涙がこみ上げてきた(ファンじゃないのに)。
会場でもワールド観戦組も、そのような人はきっと多かった思う。
「あー、今からKUSHIDAのお別れのあいさつかー」としんみりしていたときにやってきたのは
なんとジェイ・ホワイト・・・
雰囲気ぶっこわしで棚橋をイスで攻撃し、さっさと帰っていったジェイの姿。
こいつ本物だなと思わざるを得なかった。
前から「きっちり仕事をする人だなあ」とは思っていたのだが、
何かそういうものを超えているというか・・・
それまでも散々襲撃に来て、 だんだん「ジェイ、なかなかやるな・・・」とイメージが上がり、このKUSHIDA棚橋戦後の登場で完全にジェイを受け入れることができた。
もう「ここまでやってくれるのなら」と、応援したくなってきたのである。
2つ目:クリス・ジェリコのPodcast(TALK IS JERICHO)でのトークがおもしろい
1/25公開分のPodcast「TALK IS JERICHO」では、ジェリコとジェイによる1時間以上のトークが繰り広げられている。
ジェイの「素」を見る(聞く)機会がそれまでなかったため、このトークはとてもおもしろかった。
・まずは2019年イッテンヨンに関するジェイのコメント
(ケニーVS棚橋について)2016年、中邑が退団した後ケニーが台頭し、棚橋とIC王座をかけて対戦した。(2019年イッテンヨンで)すべてがあのときに戻り、ストーリー、ショー、ファンが美しく彩られた。
何とも冷静な見解である。
同じ場で戦うプロレスラーというより、コメンテーターのようだ。
・新日本道場に初めて来たときのことについて
ジェリコ:「日本のプロレスの歴史等については知ってたの?」
ジェイ:「何も知らなかった。道場のことも、「若手」が何をするのかも、それが何年続くのかも、「ヤングライオン」が何なのかすら全く知らなかった」
これにはジェリコもびっくりである。
その証拠に、ジェリコは
'Really!? That's interesting!'とものすごく興味津々でリアクションしている。
「ファレに勧められたから日本に来た」とのことだが、
何も知らずに異国の道場に乗り込むとは、すごい度胸の持ち主なのか、あるいは何も考えてなさすぎなのかはわからないが、
今現在の空気を読まない乱入もうなずける気がする。
この後ジェイはかつての道場生活についても詳しく語っている。
当時は誰も英語がしゃべれないし、誰も何も教えてくれないので大変な暮らしだったようなのだが、
特に「辛い思い出」という風には考えていないようである。
ジェリコが「日本で大嫌いな黒ビールを飲まされた」ことを苦い記憶として紹介しているのに対して、
ジェイは「酒を強制的に飲まされた」ことを含め、自分の若手時代の経験についてネガティブな言葉(辛かったとか苦しかったとか)は一切使わなかったのが印象的だった。
「伝統」であると同時に「時代遅れ」と思われがちな新日本プロレス道場での生活に苦痛を感じるどころか、すっかり馴染んで
楽しい思い出として語るとは、
大した外国人である。
最後にみんなが気になるところ、
ジェリコが「将来的にWWEに行きたいか?」という質問を投げかけると、
ジェイ:先のことはわからない。(中略)たくさんのレスラーが新日を離れて外へ行ったけど、そこでハッピーなら良いのでは・・
ジェリコ:君は今ここでハッピー?
ジェイ:そうです。将来のことは何もわからない。ここ(日本)へ来ることも以前は考えたことがなかったし。(中略)
最近ではAEWもできて、プロレス界がさらにエキサイティングなものになり、選択肢が増えたのは皆にとって良いことだと思う。
これまた冷静な意見である。
AEWという強力な新団体ができて、「新日は大丈夫なのか?」とアタフタしているファンをよそに、ジェイくんは何の危機感も持っていないようだ。
そしてどうやら「WWEへの憧れ」というようなものは無く、
かといって新日への強固な忠誠心もなさそう。
ただ、このコメントの後には
「自分は道場で暮らした。それから海外修行に出してくれて、チャンスをくれたのは新日本」
と新日本への愛着や感謝っぽいことを述べているので、ホッとした。
ジェイの日本語問題
ファンの間では「ジェイは英語しかしゃべらないから盛り上がらない」という声も多い。
個人的には、ジェイは「不気味な人」なので、わけわからない英語でまくし立てる今のスタイルが合っているのではないかと思っている。
日本語については、ROHにいるときに教科書等使って猛勉強したらしい。
(なんで日本にいるときにしないんだ?と思ったが、ヤングライオン時代は暇がなかったのかもしれない)
ケニーほどとはいかなくても、単語単語でコミュニケーションをすることは可能なようだ。
しかし、日本語しゃべりだすとケニーの二番煎じっぽい上に茶目っ気が出てキャラが崩れるし、
外道さんが代わりにしゃべりだすとオカダの二番煎じっぽいので、
とりあえず今のまま(英語がわからなくて会場が冷える)でいいのでは。
「何考えているかわからないキャラ」にもマッチしていると思うし、
大体この人自身が「歓声orブーイングがほしい」とか「人気者になりたい」とか思ってなさそう。
まだ若いこともあって、今は人の反応より自分を固める時期なのかな?と思う。
そこらへんはケニーと全く違う部分である。
ちなみに、この1/25の「TALK IS JERICHO」の37分頃から「ジェイの日本語」が数フレーズ聞けるので、興味のある方はぜひ。
ジェイの日本語だけでなく、ジェリコが「こんばんは、森進一です」のギャグを習得していることにもたまげたが・・・
ジェイ・ホワイトの今後に期待
なんともつかみどころのない人だが、
とりあえず流れに身を任せて今ここにいるという印象。
それにしても、運とタイミングは重要だなとつくづく思う。
内藤やケニーがあれだけ苦労してやっとこさIWGPを獲ったというのに、
ジェイのあっさりっぷりを見ると笑ってしまう。
できれば長期政権ではなく、ベルトは数人で回してもらったほうがこちらは楽しい。
ジェイ、オカダ、内藤、飯伏など・・・
フェイスブックのコメントなんかを読んでいると、日本だけでなく海外でも今のところ人気があるとは言えないかな・・・というちょっと悲しい状況なのだが、
きっとそれは想定内なのだろう。外道さん的にも。
私は全力応援している。
がんばってほしい。
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